プラネタリーディフェンス/スペースガード
「プラネタリーディフェンス」は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が進める、地球に対する天体衝突によって生じる災害を防止するための取組。略称は「PD」。より古い呼称として、「スペースガード」と表記される場合もある。
我が国においては、科学コミュニティにおける関心の高まりを背景に、1996年10月に特定非営利活動法人日本スペースガード協会(JSGA)が設立され、2000年3月には、文部科学省の予算措置を受け、当時の財団法人日本宇宙フォーラム(JSF)を中核に、JSGA及び旧宇宙開発事業団(NASDA)の協力の下、岡山県に美星スペースガードセンターが整備され、JAXA、JSF及びJSGAの協力の下、20余年間に1100個以上の小惑星の発見、1500個以上の地球接近小惑星の追跡に取り組んできたとされる。また、2013年にはJAXAがアジア太平洋地域の宇宙機関に対して、域内の観測網整備を提唱し、「アジア太平洋小惑星観測ネットワーク」(APAON)が創設されている。
近年においては、小惑星Apophisが2029年に地球再接近することなどを背景に、2024年4月にはJAXA内に組織横断的な「プラネタリーディフェンスチーム」が設置されるとともに、同12月には宇宙基本計画工程表(令和6年12月24日宇宙開発戦略本部決定)において、プラネタリーディフェンスに取り組む旨が明記された。なお、米国航空宇宙局(NASA)は2016年に、欧州宇宙機関(ESA)は2019年に担当組織を設置しているところ、これら欧米勢の動きに対し、10年から5年程度遅れてのプラネタリーディフェンスが政策化されたとも言える。
JAXAは、プラネタリーディフェンスに対して、美星スペースガードセンターなどの宇宙状況把握(SSA)資産、また運用中の小惑星探査機「はやぶさ2」(hayabusa2)、及び開発中の深宇宙探査実証機(Destiny+)といった人工衛星資産を動員するほか、ESAが主導する二重小惑星探査計画(Hera)に参画するなどとしている。