軌道上の有人飛行物体との干渉解析(COLA解析)
「軌道上の有人飛行物体との干渉解析」は、ロケットの打上げ等にあたり、ロケットの予定飛行経路において、ロケットと軌道上の宇宙ステーションや宇宙船などの有人宇宙機とが衝突する可能性の有無を解析する作業のこと。一般に、「COLlision Avoidance」から、「COLA解析」の語が用いられる。「衝突回避解析」と表記される場合もある。
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(C)JAXA |
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が安全監理を行う基幹ロケットの打上げの場合、打上げ予定日の5日前、2日前、及び前日に、最新のCOLA解析情報を踏まえて、打上げ可否及び打上げ時刻を判断しているとされる。
COLA解析の手法として、ロケットと宇宙ステーションの相対距離に基づく「距離判定方式」と、衝突確率に基づく「確率COLA解析」が存在することが確認されている。従来、JAXAでは、距離判定方式が専らに用いられてきたが、これはロケットと有人宇宙機の「干渉リスクを過大に見積もる傾向」から「適切な打上げ機会の確保の観点で難点があ」るとされ、近年では「確率COLA解析」への切り替えが進んでいると見られる。
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(C)JAXA |
JAXAが、COLA解析に用いる有人宇宙機側の情報として、国際宇宙ステーション(ISS)については、最新の軌道要素情報を採用するほか、中国の天宮宇宙ステーションについては、軌道要素情報が入手できないため、米軍の連合宇宙運用センター(CSpOC)が公開する天宮の位置及び速度情報をもとに、これを統計処理した天宮の予測軌道を使用していることが公知化されている。