総点検
宇宙機喪失等の重大な事故が発生した際に、関連する特定のプロジェクト(事故機の後続の宇宙機など)に対して、重点的な確認を行うこと。国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)において臨時に講じられる信頼性確保の取組の一つ。
具体的な事例として、2016年にはASTRO-Hの運用異常とその喪失を受けて、ジオスペース探査衛星「あらせ」(ERG)及び強化型イプシロンに対し、約2ヶ月をかけ、プロジェクトマネージャ経験者等の第三者による「総点検」を実施し、設計の妥当性や運用準備状況などを点検したことが確認されている。総点検の結果、抽出された改善提案は、ERGの開発に反映され、その結果を開発完了審査において最終確認した上で、強化型イプシロンによるERGの打ち上げが最終決定されている。
類似の概念として「水平展開」が挙げられるが、水平展開は特定の不具合や事故原因の再発防止を広い範囲で横展開するのを指すのに対し、総点検は、対象のプロジェクトを特定した上で重点的な確認を行う、という違いがあるものと解される。
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