契約制度の見直し
「契約制度の見直し」は、「宇宙基本計画」に基づき、2023年6月から2025年4月にかけて、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施した一連のプロジェクトマネジメント(調達マネジメント)を中心とする施策の見直し。背景として、一般財団法人日本経済団体連合会が、2023年3月14日に、「宇宙基本計画に向けた提言」として、「防衛産業の契約方式の見直しを宇宙産業にも適用する」旨を要望し、これも「踏まえて」宇宙基本計画への盛り込みに至った旨、高市早苗内閣府特命担当大臣(宇宙政策)が認めている。
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(C)一般財団法人日本経済団体連合会 |
JAXAにおいては、ASTRO-H運用異常を契機とした「プロジェクト業務改革」により、プロジェクト準備段階までの事前検討の充実によるリスク低減(フロントローディング)と、プロジェクト実行段階における請負契約(プライム契約)に基づく製造等の原則化が進められてきた。他方で、この「契約制度の見直し」を進める過程で、フロントローディングに関しては「人的・資金的リソースの不足により、十分なフロントローディングを実施できない」、「開発リスクを十分低減できないままプロジェクト移行している実態がある」との課題が抽出され、これと相まってプロジェクト実行段階においては、「請負契約適用の原則の遂行を重視したことにより、ミッション毎の特徴や制約等を踏まえた契約類型の選択が十分になされなかった」との実態も明らかになってきた。
これらの実態を踏まえ、JAXAにおいては調達部及びチーフエンジニア室等において、プロジェクト業務改革の施策の一部を見直すこととし、フロントローディングに対する人的・資金的リソースの優先投資、プロジェクト移行のタイミングの柔軟化やフロントローディング期間におけるプロジェクトの総開発費推算の強化、プロジェクトライフサイクルにおける請負契約適用のタイミングの柔軟化、契約において認める利益率の見直しなどの検討を進め、2025年4月1日までに所要の制度改正を実施したとしている。
このため、「契約制度の見直し」は、プロジェクト業務改革に基づく諸施策について、その後の実施状況などを踏まえて、フロントローディング面での再強化とプロジェクト実行段階における請負契約原則の柔軟化を図ったものとも言える。
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