無差別公平原則
「無差別公平原則」は、宇宙基本法(平成20年法律第43号)施行以前、また「一般化原則」成立以前における自衛隊の通信分野における宇宙利用を認める法令解釈。公衆電気通信法(昭和28年法律第97号)を根拠に、自衛隊が通信衛星を利用することにつき、「非軍事」の宇宙利用を掲げた国会決議の「平和利用原則」に抵触しないとした内閣の見解。
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自衛隊の宇宙利用は、1977年に砕氷艦「ふじ」による商用通信衛星マリサットの回線を借り上げたことを嚆矢とするが、1984年には、自衛隊より、硫黄島との通信連絡にあたり、通信衛星さくら2号(CS-2a/CS-2b)を使用したい旨の要望が浮上した。これに対し、公衆電気通信法の「あまねく公平な役務の提供」や「差別的待遇の禁止」を根拠に、自衛隊の通信衛星利用が認められるに至り、内閣の見解として「無差別公平原則」が成立した。なお、「無差別公平原則」に続き、通信衛星に限らず、自衛隊による一般化した衛星の利用を認めた「一般化原則」が存在した後も、自衛隊が通信衛星さくら3号(CS-3)の専用回線を利用するにあたり、「一般化しているか否かというようなこととは関係なく」これを可能とする、科学技術庁による国会答弁が示されているため、法律に基づく「無差別公平原則」は、原子力分野の解釈例を援用して、内閣が国会決議を解釈した「一般化原則」よりも優先的に適否の検討がなされていたものと解される。
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