プロジェクト準備審査(経営審査)

 「プロジェクト準備審査」は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)のプロジェクトマネジメントにおけるプロジェクト審査で、JAXA経営層による「経営審査」の一つ。プロジェクトの事前活動にあたる「プリプロジェクト」の設置可否を評価する。通常、JAXAの役員のうち1名が審査委員長を務める。

(C)JAXA

 ミッション定義段階を経たプリプロジェクト候補に対して、「ミッションの価値、中長期計画等との整合性」やJAXAの「事業・人員・資金を含めた長期的計画の成立性」に照らして、経営的な観点から、ミッション定義の妥当性を評価する。

 プロジェクト準備審査の結果に基づき、理事長がミッションの定義、及びプロジェクトの検討を行う「プリプロジェクト」の活動・体制・資金を決定する。なお、プロジェクトの重要性に応じて、この段階で文部科学省科学技術・学術審議会(宇宙開発利用部会)に、プロジェクト準備審査の結果が報告される場合がある。

 プロジェクト準備審査を通過したプリプロジェクト候補は、プロジェクト準備段階(プリプロジェクト)に移行し、開発本格化に向けた「概念設計」と「計画決定」の活動を行う。

 従来、プロジェクト移行審査のみで開発着手の可否を評価していたのを、2007年に「プロジェクト管理の強化」の一環として、経営審査を充実させることとなり、新たに初動段階よりプロジェクト準備審査を経ることとした。プロジェクト準備審査により早期から活動が定義されることで、人員・資金を確保した上で、開発移行前の概念検討・概念設計を強化させる狙いがある。

 2020年度時点の運用状況として、明らかにされているところによれば、プロジェクト準備審査では、プリプロジェクト候補の「ミッション要求書」、「プロジェクト計画書(案)」、「システムエンジニアリングマネジメント計画書(SEMP)(案)」、「調達マネジメント計画書(案)」、「リスク管理計画書」、「リスク識別書」及び「概念検討報告書(要約)」を審査対象文書とする。プロジェクト準備審査を経たミッション要求書及び調達マネジメント計画書(案)は、プリプロジェクトのベースライン(基準値)に組み入れられる。


関連:

プロジェクト移行審査(経営審査)

プロジェクト終了審査(経営審査)

ミッション定義審査(MDR)

おすすめ