宇宙利用の優位(宇宙優勢)

 「宇宙利用の優位」は、「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱について」(平成30年12月18日国家安全保障会議及び閣議決定)(防衛大綱/30大綱)で掲げられた概念。「平時から有事までのあらゆる段階において宇宙利用の優位を確保する」としたもの。「Superiority in use of space」と英訳される。米軍における「宇宙優勢」(Space superiority)に近い概念で、より平時からの宇宙利用を意識したものと解される。

航空自衛隊における宇宙状況監視(訓練)
(C)航空自衛隊
「令和4年度版防衛白書」より「安全保障分野における宇宙利用イメージ」
(C)防衛省

 かつての「制海権」や「制空権」に代わり、「海上優勢」や「航空優勢」の語が用いられるようになり久しいが、宇宙空間においても、安全保障環境の厳しさを反映して「優勢」確保が追求されるようになったと言える。我が国においては、30年大綱に基づき、航空自衛隊の宇宙作戦群等が、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)といった関係機関や在日米宇宙軍等と、連携を強化し、宇宙利用の優位確保を進めているとされる。

 この宇宙利用における優位、又は宇宙優勢については、2025年5月の日米制服組を中心とするパネルディスカッションで言及が見られている。航空自衛隊宇宙作戦群は、「技術革新をタイムリーに獲得する」ことの重要性、また宇宙システムのコスト強要(Cost-imposing)リスクの高さを踏まえた「脅威を事前察知する技術」の必要などを強調した。これに対して、在日米宇宙軍は、「宇宙における我の行動の自由を確保し、敵にはこれを許容しない」ことを打ち出している。

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